Diagnosis
診療内容

どんなことでもお気軽にご相談ください。
緊急を要する場合や特殊な検査が必要と判断した
場合には、適宜連携医療機関に紹介しますので、
ご安心ください。

甲状腺疾患

甲状腺は代謝調節ホルモンをつくり、血液中に分泌している臓器です。

よって、甲状腺の病気は「甲状腺機能異常(ホルモン値の異常)」と「腫瘍(できもの)」に分けられます。

甲状腺ホルモンは代謝と関わりがあるため、ホルモン過剰状態(甲状腺機能亢進症)では、動悸、異常に汗をかく、暑がり、下痢しやすい、食欲旺盛でたくさん食べている割に体重が減る、疲れやすい、イライラする、不眠などの代謝亢進症状が出てきます。

反対に、ホルモン不足状態(甲状腺機能低下症)では、脈が遅い、寒がり、便秘、あまり食べないのに体重が増える、何をするのも億劫になってだるいなどの代謝低下症状がみられます。また、認知機能の低下がみられる場合があり、ご高齢の方では認知症と間違われることもあります。

甲状腺ホルモン分泌が多い
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモン分泌が少ない
甲状腺機能低下症
甲状腺機能異常
(ホルモン値の異常)

甲状腺機能亢進症

バセドウ病
甲状腺機能亢進症の中で最も多い病気です。自己免疫による病気ですが、きちんとホルモン値をコントロールすれば怖い病気ではありません。
治療は抗甲状腺薬の内服療法、アイソトープ治療、手術療法の三通りがあります。
手っ取り早いのは内服療法ですが、病勢コントロールが難しい方では頻回の通院を余儀なくされたり、副作用(好中球減少や肝機能障害など)がみられる場合があるなどのデメリットもあります。アイソトープ治療は病勢コントロールが困難な方、頻回の通院が困難な方、内服薬の副作用がみられた方などでよい適応となります。手術療法は内服薬の副作用がみられた方、特に早期にホルモン値を安定させたい方などで選択されることが多いです。アイソトープ治療、手術療法ともに通常は甲状腺ホルモン薬の服用が必要になりますが、抗甲状腺薬と異なり、頻回な通院が不要になることが多いです。
ホルモン値を適切にコントロールすれば怖い病気ではありませんが、若年の患者さんが多いこともあって通院が不規則になる場合があります。通院が不規則になると、ホルモン値がなかなか安定せず、そのような状態で強いストレス(肉体的または精神的)が加わると生命にかかわる重篤な状態に陥ることがあります(甲状腺クリーゼ)。

甲状腺機能亢進症にはバセドウ病の他、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、妊娠経過中に一過性に甲状腺機能亢進症状がみられる場合などがあり、各々対処法が異なります。

甲状腺機能低下症

慢性甲状腺炎
(橋本病)
頻度が高い病気で、この病気の素質を持っている方がヨード含有食品(昆布やひじきなど)を大量に摂取されると甲状腺機能低下症に陥ることがあります。ヨード過剰摂取が原因の場合は、その習慣を止めるだけでホルモン値が正常になる場合もあり、治療の必要はありません。2~3か月経過を見ても改善しない場合には甲状腺ホルモンの内服薬が必要になります。

甲状腺術後やバセドウ病のアイソトープ治療後で甲状腺機能低下症になった場合には生涯の甲状腺ホルモン内服が必要になります。

妊娠を希望される女性では、通常は正常とされる範囲内でも甲状腺ホルモンを内服していただく場合があります。

また、普段甲状腺ホルモン製剤を内服されている方が妊娠された場合には通常時よりも多めのお薬が必要になります。

甲状腺腫瘍
頻度が高く、その多くは良性のものですが、5%程度に悪性腫瘍がみられるとの報告があります。超音波検査で大きさや性状をチェックしますが、良悪性の区別がつきにくい場合に、吸引細胞診検査や切除を含めた手術療法が行われる場合があります。